新生児と親御さんをサポート
寄り添うことを大事にしています
こども病院を希望した理由は、学生の時に、この病院を舞台にした本である「電池が切れるまで」を読んだからです。重い疾患を持つこどもたちが、病気や人生について、私よりも深く考えていることに心を動かされて、こどもたちを支えたいと思いました。
この病院は、新生児の手術ができる病院であり、県全域から新生児を受け入れて急性期治療を担っています。私は新生児特定集中治療室(NICU)に所属し、治療の補助や点滴管理、ミルクやお風呂などの生活全般のケア、そして認定遺伝カウンセラーとして親御さんのサポートを行っています。
お子さんの状況に、親御さんはとても動揺されています。私たちは、こどもたちだけではなく、親御さんにもどんな支援が適切なのかを考えて、寄り添うことに力を注いでいます。親御さんにとって、私たちはお子さんが生まれて初めて出会う医療者です。地域に帰った後、周りの支援を信頼できるかどうかは、私たちにかかっていると思います。信頼関係を作ることが大切です。
私たち医療者は、手術を含めた治療の道筋が、次のステップや希望として見えているのですが、一方の親御さんは、お子さんが繰り返し手術を受けていくことについて、不安を感じて悩んでいます。過去に「治療をやめてほしい」と親御さんに相談されたことがあり、話し合いの時間を設けたことがありました。親御さんの気持ちを分かっていなかったことに反省をしたと同時に、医療者とご家族の、理解と気持ちのズレに気づくことが重要だと感じました。
現在、看護師の仕事と同時に、「認定遺伝カウンセラー」の資格を活かして、遺伝カウンセリングの仕事も担っています。ご家族への遺伝子検査の説明や、今後の治療や生活についての情報提供を行います。遺伝子や染色体は、難しくデリケートな問題を含むので、丁寧に話を進めています。
「認定遺伝カウンセラー」は、2年間の修士課程を修了しないと受験資格が取れないので、休業制度を利用して学校に通いました。1年目は「修学部分休業」を利用して、1日の半分だけ勤務、2年目は「自己啓発等休業」を利用して、1年間休業して学業に専念しました。病院の理解があり資格にチャレンジできましたし、やりがいのある仕事に従事できています。